パッシブハウスとは?(その2)

2025年3月13日更新

前回のBLOGからの続きになります。

当社初のパッシブハウス認定予定の現場も完成間近ですが、そもそもパッシブハウスは読んで字の如く、パッシブ(受動的)なハウス(住宅)ですから建設地の自然環境に大きく影響を受けます。
そのため、ドイツの気候・環境とは異なる日本におけるパッシブハウスの建設には以下の課題が伴います。

■日本におけるパッシブハウスの課題
(1) 多様な気候・風土への対応

 欧州の寒冷気候を想定したパッシブハウスの基準を、そのまま日本で適用するには設計面の工夫が必要です。
特に、夏場の高温多湿な環境では、日射遮蔽や通風設計など、冷房負荷削減の工夫が重要になり、ここで設計手法として活かされるのがパッシブデザインの日射遮蔽と通風計画になります。
 
(2)技術・コスト面の課題
パッシブハウスが求める断熱性・気密性の性能を持つ窓サッシは国産製品での選択肢が限られ、且つコストが高いことが普及を妨げている要因です。
 
(3) 法規制・基準とのギャップ
パッシブハウスの日程を取得していても、日本の省エネルギー基準(断熱等性能等級や一次エネルギー消費量基準など)では評価されないため、公的な証明には住宅性能評価などを取得が必要です。
 
■まとめ
ファイスト博士が提唱したパッシブハウスは、以下の厳格な基準を満たすことで、従来住宅に比べて80~90%の省エネルギーを可能にし、室内の快適性や健康性、環境負荷の低減を同時に実現する革新的な建築手法です。
近年、日本においても国のカーボンニュートラルの取り組みに沿って、自治体がパッシブハウスに近い高断熱・高気密住宅を目指す動きが活発になっています。
 
▶年間暖房負荷
年間15kWh または 居室空間1㎡あたり10W(ピーク時)以下であること
▶年間冷房除湿負荷
冷房負荷が21kWh/㎡以下であること(※6地域の場合)
▶気密性能
0.6回/h(50paの気圧差で建物の空気交換が1時間に0.6回)以下であること
▶総一次エネルギー消費量
すべての電力の年間消費電力が120kWh/㎡以下であること
 
最後になりますが、私たちがパッシブハウスに取り組む理由。
それは、家づくりを通じて、カーボンニュートラル(地球温暖化対策)と、サスティナビリティー(持続可能な社会)へ寄与したいために他なりません。
私たちは世界最高峰の省エネ住宅であるパッシブハウスの取り組みを通じて、全棟「リアル・パッシブZEH(※)」の家づくりを実践して参ります。
 
※リアル・パッシブZEH →「パッシブデザイン」と「リアルZEH」を組み合わせた造語です。

参考資料|グローバル・パッシブハウス・プラットフォーム
パッシブハウスは、地域の気候に応じて、健康的で快適な暮らしと優れたエネルギー効率を実現します。
ここ数年でパッシブハウスの普及は急速に早まり、厳格なパッシブハウス協会の認証基準に従って認証されたユニットは47,400件を超え、総床面積は4,322,000 m²(TFA)に達しています(2025年1月現在)。
品質が保証されたこれらの事例の多くは、パッシブハウスデータベース に含まれており、約5,900のパッシブハウスの建物が記録されています。 

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