180分の没入

2024年5月24日更新


※写真:Universal Pictures

映画オッペンハイマーを観てきました。
アメリカ本国での公開から約8ヶ月後の3月29日、ようやく日本での公開が実現しました。
この映画の監督は、私が愛してやまないSF映画の最高傑作「インターステラー(2014)」のクリストファー・ノーラン氏です。
 
映画好きの方なら、それもSF好きの方なら同意して頂けるはず(!?)ですが、様々な物理理論の映像化と、父と娘の親子愛が織りなす、サイエンスとヒューマニズムが昇華した名作中の名作です♪
また、後の2017年にノーベル物理学賞を受賞した理論物理学者のキップ・ソーン氏が科学コンサルタントを務めていることからも、このインターステラーからオッペンハイマーへと続く系譜を予見することができます。
蛇足ですが、インタースタラーの登場以前は、ジョディー・フォスター主演の「コンタクト(1997)」が私の中でのSF映画の金字塔でした(笑)。
 

最新作「オッペンハイマー(2023)」は、史実に基づいて実際の人物をモチーフにした、ノーラン監督にとおては稀な作品です。前例では戦争実話を題材にしたダンケルク(2017)があります。
さて、J・ロバート・オッペンハイマーは、ブラックホールが発見される何年も前からその存在を示唆する天才理論物理学者でした。

宇宙物理学で名を馳せたオッペンハイマーが、なぜ原爆を開発するに至ったのか?
そしてなぜ、原爆が日本に投下されなければならなかったのか?
戦後の核拡散防止は防げなかったのか?

こんな疑問への回答を期待しつつ、ノーラン映画の一ファンとしてはもちろん、日本と関わりの深い原爆開発のストーリーである以上、必ず劇場で観たい!それもIMAXで観たい!という念願がようやく叶いました。

 

ノーラン監督は映画公開後のインタビューで次のように語っています。

「私が目指したことは、歴史の大転換期の絶対的中心にいた人物の、魂と経験の中に観客を導くことだ」
「好むと好まざるに関わらず、J・ロバート・オッペンハイマーは未だかつてない最重要人物であり、良くも悪くも私たちが生きるこの世の中を作り出した。彼の物語を信じるには、それを目にするしかない」

そして本編では、それを映像を通して体験することになるのですが、映画のエンディングでは現在を生きる私たちに直結する未だ進行形の課題として提議されることで、ハッと我に返りエンドロールを迎えます。

 

善でも悪でもない、批判も擁護もしないスタンスで、ノーラン監督の素晴らしい映像(エンターテイメントと呼ぶには心が痛みます)を体感できたのは貴重な体験でした。

上映時間3時間、IMAXカメラで撮影(すなわちIMAXシアターでの鑑賞を前提としている)、R15+指定と、決して家族連れや万人が楽しめる映画ではありませんが、また奥さんの許可を得て二度目の鑑賞を考えている私です(笑)。

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