あれから30年も。

2025年1月17日更新

 やはり思い出さずにはいられません。

当時、大阪・港区のマンションの最上階8階である実家に住んでいた私は、早朝の朝5時46分、その大きな揺れは大袈裟でなく、窓から地面が見える程、鉄筋コンクリートの建物を曲げる感覚を覚えました。

しかし、地上に飛び出して見ても、一見何事も変化していないように思えました。
実は、港区でも海に近いエリアでは、液状化で地面は陥没し、立体駐車場の中では車が何十台も落ちるなど、深刻な被害を受けていた事を後で知りました。

皆さんもご存知のように、戦後最も大きな被害をもたらした阪神大震災が、その後の私たちの実社会に与えた影響は計り知れません。
住宅においても、この阪神大震災がきっかけとなり、大型の木造建築で採用されてきた日本の技術を、構造計算と共に、個人住宅にまで転用する事で1997年に誕生したのが「耐震構法・SE構法」です。

阪神大震災の惨事を二度と繰り返さないため、住まい手の命と財産を守るため、世界有数の地震大国である日本の木造建築を変えるために誕生したと言っても過言ではありません。
今では累計2万棟以上のSE構法の家が建設されていますが、毎年日本の国土のどこかで発生する地震による被害はこれまで1棟も報告されていないという事実が、そのDNAを示しています。

しかし、南海トラフがもたらすであろう地震被害を「西日本大震災」と称し、そのための備えの重要性を説く地震研究の専門家の方もおられます。
住宅のロングライフを考える際において、阪神大震災(1995年)と台風21号(2018年)の被害は脳裏から離れません。
あの忌まわしい経験から、家は地震や台風などの災害時に避難場所(シェルター)としての機能を果たすことが第一義であり、住宅の「耐災害性」の重要性は、これからも私たちフクダ・ロングライフデザインの家づくりのDNAとして必ず宿っていきます。

阪神大震災から30年を迎え、「人命・財産を守る責任」を負っている私たちつくり手の責務について、気持ちを新たにした次第です。

※1995年1月17日 倒壊した家屋の負傷者を救出しようとする住民(神戸市東灘区)

※2018年9月4日 台風21号で被害を受けた商店街のアーケード(大阪市東成区)

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