こんにちは。
設計チーフの千知岩です。

今回は、プレゼンテーションと見積提示についてご紹介します。

まずは現況平面をご覧ください。

3LDK約70㎡の一般的によく見るマンションの間取りです。

北側の共用廊下側に洋室が2つ、バルコニー側にリビング・ダイニング、中央付近には水廻りと和室。

床・天井が全てフラットな設えは、他物件には少ない特徴的な部分です。

プランに対する要望は、お子さんを2人想定していて部屋数を3つ、ほとんどを当社にお任せ頂き良い提案に期待したいとのことでした。

ではプラン提案についてご紹介いたします。
最初に行う検討は、マンションのデメリットを改善するべく、性能及び機能面を検討しプランニングを進めます。

デメリットは、角部屋で3面外気に面し外気の影響を受けやすく（特に大きく西側に面する）、南側のバルコニーに面する窓（サッシ）が大きく熱損失量が高いこと。

メリットは、床・天井が完全なフラットで段差がないことです。

上記から以下の対策を講じました。
デメリットである外気の影響を受けやすいため、内外温度差を軽減し室内温度の安定を図るため、コンクリート面の断熱化及びサッシの断熱性向上です。

南面サッシについてバルコニーの奥行きが2Mと深く、夏期の午前午後の太陽高度が低い日射遮蔽提案及び冬期の日没以降の室内の熱損失対策です。

マンションの窓（サッシ）は共用部位に該当し、外部側での遮蔽措置が難しく困難であるため、内部取付で遮蔽効果のある部材としてハニカムサーモスクリーンがあります。
日射熱の流入を60%程度防ぎますので、夏期の遮蔽対策及び冬期の熱損失対策に有効です。

メリットの面では、床・天井が完全なフラットで段差がなくかつ天井の梁型が見えないので間仕切り壁位置の移動がしやすい。
水廻りエリアは、コンクリートスラブの段差が20センチ程度あリ、そのエリア内であればレイアウトの変更が可能です。

では、プラン検討に入ります。
今回のような一般的なマンションの間取りで日頃から気になるところがあり、廊下と共用廊下側に面する洋室とLDKの間に位置する和室です。

廊下に面する洗面・脱衣・浴室は、廊下とLDKとの間を扉で仕切っているため、冬期にはLDKの暖房エリアと室温差が生じ不快です。
また中央に位置する和室は暗く、外部に面していないため室内の換気が機能しなく空気が澱みかつ空調機器も設置ができません。

上記2点を解決し、室内環境の改善を図りたいと考えました。

一つ目は、
洗面・脱衣・浴室の水廻りを暖房エリアに取込むために扉位置を玄関側に変更し、引き込める扉を提案します。
廊下は部屋へ移動するのみのスペースで勿体無いと思いますので、LDKエリアに取り込むことで冬期でも水廻りの室温がLDKの室温に近づき温度差が少なくなり安定します。
夏期においても温湿度の高いエリアとなり、洗面利用時に不快で滞在したくなくなりますね。
冬期も同様、LDKの室温に近づき洗面利用時の不快感がなくなります。

上記から廊下のスペースが減少し、玄関ホールとして断熱性の低い玄関扉部分の温熱的な風除室として機能します。
また無駄な廊下がLDKのエリアに取り込まれることから、LDK空間を広げられるメリットが生まれます。

次に2つ目の共用廊下に面した洋室とLDKの中央に位置する部屋の改善方法ですが、
要望から和室は不要、将来を見据え子供部屋が2部屋必要ですので、2部屋のプライバシーと室内環境の改善提案を行います。
家族が長時間利用するLDKを少しでも広く確保したいと考え、子供部屋を最小限の大きさでベットとデスク配置ができる大きさとし、それぞれの部屋から中央にウォークインできる子供部屋収納を作ります。
外壁に面する子供部屋から収納に向う扉とリビングから子供部屋に面する扉をそれぞれ引き戸とし、閉じていても明るさと通風を調整できる手動で可動する可動ルーバー付引戸での改善提案を行いました。

また将来2部屋目の子供部屋を利用するまでの期間、リビングと繋がる子供部屋はコーナー引き戸で両引き分けにすることで、LDKと繋がりができ広く利用することができます。
ホビールーム、書斎など当面の間、他の用途としても利用可能です。

上記の改善を図りつつ、当社の標準仕様でLDKを含めた以下の提案も行いました。

・玄関収納の充実＋間接照明
・ホール廊下からリビングまで連続する高さを抑えた板張り天井
・造作洗面カウンター
・キッチンバック造作収納
・ダイニング造作収納
・リビングテレビボード造作収納
・リビングとバルコニーの繋がりを作るため、カーテンボックスを造作
・照明計画

またプレゼンテーション時には見積提示も併せて行います。
設計ヒアリング時にご予算をヒアリングしており、ご予算に合わせた見積、さらに要望＋当社からの提案を含めた見積、さらに減額案を併せて提出させて頂き、取捨選択しやすいように努めています。

次回は金額調整を終え、実施設計についてご説明します。