こんにちは。
設計チーフの千知岩です。

さて今回は、設計を進めるために物件調査の方法及び竣工図確認についてご紹介します。
具体的にプラン検討を始める前に、現地調査にて以下の寸法他など、竣工図で既存状況の確認を行います。

【現地調査】

■LDK、寝室：コンクリート面からの床高さ
・マンションの場合、一般的にはクッション材がついた遮音フローリングですが、他の仕上げ（カーペットなど）では一部捲って基準となるコンクリート面からの仕上げ厚を測定し、無垢材を使用する場合など現状からどの程度床を上げる必要があるか確認
・バルコニーへの立上り段差寸法

■玄関：玄関ドア敷居と土間の段差、土間と室内床の段差寸法
仕上げを既存のまま使用できるのか、上貼りできるのか、張り替えになるのかなど確認

■水廻り：トイレ、洗面脱衣室、浴室の段差寸法
床下配管スペースの高さがどの程度あり、設備機器の配置変更がどの程度可能か想定できます。

■天井高さ：各諸室の高さ
コンクリート面から天井までの寸法を以下より測定し、天井の高さを高くできるか確認
ダウンライト等を外して測定
浴室天井点検口から測定

■梁型など：高さと幅
天井からの出っ張りは間仕切変更した際、部屋の外周部以外にあると圧迫感など感じやすくなります。
前もって測定しておけば、梁型を見せるもしくは隠すデザインの検討が可能です。
天井からの出っ張りは全てコンクリート梁型ではなく、換気ダクト配管を隠すための覆いの場合もあり、コンパクトに作り直して目立たないようにできる可能性も高いため、全ての梁型を測定します。

■平面寸法：柱型、内法（有効）寸法
家具、什器の配置など、間仕切の位置を変更した際に希望のものが入るか必要な寸法です。

■設備
・換気扇：換気方式、換気扇カバー位置の確認
取替・照明計画などの場合に必要です。

・コンセント・スイッチ他、分電盤位置
特にコンクリート躯体面には、埋め込まれている場合がほとんどで移動ができないため、間仕切変更の際に必要です。

・インターホン位置
間仕切変更した際に配線長さに制約があるため位置変更が可能か確認

・クーラースリーブ、エアコン取付位置
計画変更した際に家具、カーテン、内装建具への干渉確認
共用廊下側のお部屋のエアコンが取り付けできない場合もあります。

・換気ガラリ
築年数が相当経過した物件では、窓の一部に換気機能がついたもののみでコンクリート面には換気専用の開口（給気）がありません。
断熱改修など内窓を設置する際には注意が必要です。

・自動火災報知設備
位置確認
配線長さが限られますので、照明計画などの計画に使用します。

・給湯器
取替が必要か年数、型式を確認

※測定が完了したら、最後に上記全てが確認できる画像の撮影を行います。
　この画像全てがあればプラン作成に役立ちます。

【竣工図】

建物竣工当時から管理組合、管理人室等に保管してあり、建築・給排水設備・電気設備の3冊あり持ち出し禁止ですので、必要な箇所を撮影します。

各住戸のコンクリート躯体寸法が詳細に記載されていますので、この資料をもとに平面図等を作成します。

事前に床下配管ルート、換気ダクトルート等が確認できますので、計画の際に水廻り位置変更等の検討ができます。

キッチン、トイレなどはすぐ近くに上下階を貫通する共用縦配管が室内住戸にあり、この配管は動かすことができないため事前に確認しておきます。

物件によっては、水廻りの周辺にコンクリートブロック（CB）で囲まれているケースもあり騒音などで解体が困難ですので、竣工図で事前に確認することができます。

いよいよ現状確認も終え、次回はプラン検討前の設計ヒアリングについてご紹介します。