こんにちは　工務部　大塚です。

結果的には割とあっさり決まってしまった土地探し。
改めて「土地探しはご縁」という言葉がとてもふさわしいと感じたものでした。

私が選んだ土地は半世紀ほど前に大手ハウスメーカーが大規模開発を手掛けた郊外型のいわゆるベッドタウンと呼ばれていた大型の分譲地内の一画です。

街全体の特徴は、古さは感じるものの、世代の交代で建て替えが進み、子育て世代の転入も増えつつある地域です。
自然環境に恵まれながらも、都市部へのアクセスもほどほどに良く、丁度良い田舎といったところでしょうか。

西面道路に接道した約50坪の土地を定めました。

※更地で雑草対策も施された状態での販売でした。

決断した大きな理由ですが、まずはパッシブ設計が活かせる立地であること。
土地の形状は整形で東西にやや長く、北東側に建物を配置すれば、南側に日射取得に適切な距離とプライベートな中庭空間を作り出すことが可能だと判断したためです。
次に数百メートル先に30区画ほどの新しい分譲地があり、子育て世代であったり、入居が近い時期になりそうな家が複数あったことです。
後に分譲区画が増え、現在も複数の家が建築中です。
長きにわたるご近所さんとの関係を築く上で、親が同世代であったり、子供たちの年齢が近いというのは私たちにとっては重要な要素の1つでした。
最後に数年前にこの地域で仕事をさせて頂いたことがあり、建築期間の数か月ではありましたが、街全体や住民の方々の雰囲気をなんとなく感じとっていたため、住むイメージが湧きやすかったことです。

こうして土地探しは無事に済ませたものの、探すことだけに注力しすぎて、その後のことを大した準備もせずにいたため、ここから大慌てになるのですが、以下に土地探しの大きなポイントをまとめます。

1．100点の土地は存在しない

常に流通している不動産情報をある一定の期間の中で探すとなると、当然その時に出ている情報の中で選択をしなければなりません。
その上で地域や面積、予算、周辺環境等の条件を付けていくと、おのずと選べる範囲が絞られていきますが、希望の条件をすべて満たす土地はまず存在しないという前提で探す必要があります。
感覚的には60点（希望条件の6割を満たす）あれば上等ではないかと。

2.不動産会社より先に意中の建築会社を見つける

60点の土地を100点に近づけることが出来るのは不動産会社さんではありません。
建築側の目線でその土地を活かす設計ができる会社を見つけておき、相談できる関係を築いておくことが、土地を探すことよりも先決だと思います。
候補の土地にどんな建物が建築可能か、また建築費用の概算も算出してもらえると全体予算の把握に努めやすくなります。

3.古家付きの土地は可能であれば避ける

大気汚染防止法に基づく石綿（アスベスト）障害予防規則の改正が2022年4月に施行されました。
それに伴い建築物の解体工事には事前に建材などのアスベスト含有の有無を調査し報告することが義務付けられました。
調査によりアスベスト含有建材の使用が判明すれば必要な策を講じた撤去作業が必要となり、先の調査費用に加えて解体工事に掛かる費用と時間が増えます。一つの目安として、2004年以前に建てられたものはアスベスト含有建材が使われている可能性があります。
上記を踏まえ、古家付きの土地には解体工事に掛かる費用と時間が読みにくい場合があり、可能であれば避けた方が無難ではないでしょうか。

4.意外とかさむ諸費用

家づくりには土地と建物の費用に加えて様々な諸費用が生じます。
土地購入に掛かる諸費用として、売主への手付金、土地売買の仲介手数料、売買契約締結の際の印紙税、土地登記費用など購入する土地代金の5～10％程度が必要となります。
また、住宅ローンを利用する場合、ローン保証料（融資額の約2％）、事務手数料、印紙税など金融機関に対して発生する諸費用があります。
建物の竣工間際には、建物登記、抵当権設定、火災保険への加入など。
その他として地鎮祭、上棟式等の式典費用や家具購入、引越し費用なども含めると意外とかさむものです。
あらかじめ諸費用を踏まえた資金計画を立てることが極めて重要と言えるでしょう。

5. 不動産取引は思った以上にスピーディーである

その土地の購入を検討しますとなった瞬間から、怒涛の書類の準備が始まります。
金融機関に事前審査を通しましょう。
建築に掛かる費用はいくらですか？
契約は〇〇日です。それまでに□□□の書類の準備をお願いします！
業界的には当たり前の流れなんだとは思いますが、全てが初めてのことで、言われるがままあれよあれよと話が進んでいきます…
金融機関へは事前審査だけでも通しておくことを強くおススメします。

長くなりましたが、土地探しから決定までの話は以上となります。
決め手となる要素、条件はある程度（本当に6割くらいです）満たしていたものの、そこに建物がない以上、イメージの域を越えられないのですね…本当にこの土地で良かったのか、具体的な設計ができあがるまでは自問する日々でした。

1年間この土地に暮らしてみて、購入の決め手となったパッシブ設計の生きる土地、同世代との交流、街の様相も変わりなく穏やかなものであったため、選択は間違いのないもであったかと振り返ります。