SE構法の耐震実験動画とレポートが届きました!

2023年6月1日更新

代表の福田です。

先日、ブログ記事にしました「日本の森でつくるSE構法④【番外編】」の内容の
耐震実験動画とレポートが届きました!

 

百聞は一見にしかず!動画をどうぞ御覧ください!

 

以下レポートを記載しますが・・・

少し難しい内容ですので、もう少し簡単にまとめ内容については以下ブログを御覧ください。

ブログはこちらから→「日本の森でつくるSE構法④【番外編】」

 

●耐震実験レポート●

◇ 在来軸組工法用ホールダウン金物の引張実験

・柱の脚部が引抜ける力を確認する実験。
 壊れるまで実験し、その結果から設計値(短期許容耐力)を決定する。

・メーカーのカタログに記載の設計値(短期許容耐力)は 5.2 トンで
 SE 構法の標準的な柱脚金物である PB12金物と同等性能
 (PB12 柱脚の設計値は 5.4 トン)。

・今回の実験では、引抜力の最大値は 10.9 トン、金物が破断して実験は終了。
 実験が終了した時点で柱は 2cm浮き上がっていた。

・金物とビスが変形することで接合部の粘りを出している。
 最近の木造用の金物は、今回実験したホールダウンのように、
 金物を木材よりも先に壊すことで、引抜耐力を安定させて、粘りを出している。

 

◇ SE 構法 PB12 柱脚金物の引張実験

・SE 構法の構造計算で使う設計値(短期許容耐力)を評価する実験。
 柱の脚部が引抜ける力とどれくらい変形するかを確認。

・引抜力の最大値は 12.2 トンで金物の溶接部分が破断して実験は終了。
 実験が終了した時点で柱は 2cm 浮き上がっていた。

 

◇ 耐力壁の面内せん断実験

・耐力壁に地震や風の力を想定した水平力を加える実験。
 耐力壁がどれくらいの力に耐えられるか、どれくらい変形するかを確認する。

・あえて壊れるまで実験することで、どのように壊れるのか、
 設計で想定していない事が起きないかを確認する。

・構造計算は、建物の重量や建設場所から地震や風(台風)の力を計算して、
 その力が建物に作用しても元に戻ることを確認する。
 そのため、構造計算の範囲(層間変形角で 1/200rad.、
 今回の実験では、梁が水平方向に1.4cm 動いた時点)では、
 目で見ると何が起こっているのか分からない。

・今回の実験では、水平力の最大値は 2.9 トンであった。
 ちなみに、構造計算でギリギリの時点(層間変形角で1/200rad.の時点)では、
 1.3 トンの力に耐えており、構造計算で想定する力の約 2 倍の力に耐えることができる。
 この”余力”が、大地震時に人命を守れるか、継続的に住むことができるかという点で重要になる。

・層間変形角が 1/17rad.(梁が水平方向に 16.2cm 動いた時点)で
 合板がせん断破壊して実験は終了。
 ちな みに、1 級合板だと JAS 規格でせん断強度の最低値が決められていて、
 今回の試験体では 2.6 トンが最低強度。
 参考までに、建築学会の基準で 2 級合板の場合の強度を計算すると、
 2 トンが最大値となるが、JAS 規格でせん断強度の最低値が決められていないので、
 必ずこの性能以上になるとは限らない。

・一般的に、木造が倒壊する時点の層間変形角(安全限界変形と呼ばれる)は
 1/30rad.と言われており、今回の実験では、1/30rad.時点では耐力壁は壊れておらず、 
 これ以上の変形能力があることが確認された。

・今回の試験体は耐力壁が壊れた後に接合部が壊れるように設計しており、
 設計通りの実験結果であった。

 

◇ 粘りを確保することの重要性

“仕事=力×変形”で、外力がなす仕事は、建物内部のひずみエネルギーとして蓄えられる。建物が蓄えられるひずみ

エネルギーが大きいほど、耐震性が高いということになる。このひずみエネルギーは、“耐えられる力が大きい”か“粘り強 い(大変形に耐えられる)”のどちらかであれば大きい値になり、耐震性の高い建物になる。そのため、SE 構法で は、耐えられる力を大きくするのはもちろん、粘り強さを大きくすることで、耐震性を高めている。

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