断熱性能

2023年5月15日更新

こんにちは。設計の田中です。

前回は性能値って何のための物なのか、という前提をお話させていただきました。
今回はそこから戻って、改めて性能値の説明をさせていただきます。

今回は一番代表的な性能値である、断熱性能を表す数値についてご説明させていただきます。
色々温熱的な性能はありますが、断熱性能はその基本とも言える数値で、まずは押さえるべき値です。
断熱性能を表す数値は2つあり、「UA値(ユーエーち)」「Q値(キューち)」があります。

共に単位は「W/㎡K」(わっとぱーへいべいけるびん)という単位を用いていますが、
2つあるのは後述しますが少し中身が違うからです。
この単位の中の「W」は電力などで馴染み深いかもしれませんが、この分野では「熱量」を表します。
少し難しいですが、電気ヒーターに例えると比較的分かりやすいです。

上記のような電熱線に電気を通すような電気ヒーターですと、最大で1000W程度の電気を使って1000Wの熱量を生みます。
つまり1000Wの熱量が移動する(出ていく、入ってくる)ということになります。

「㎡」はもちろん面積で、ここでは1㎡あたりという意味になります。

最後に「K」(ケルビン)ですが、これは温度の単位で「℃」に読替えが可能なものです。
一応0℃273Kですが、ここでは室内と室外の温度差を表すのでそのまま℃と読替えてしまっても問題ありません。
室内と室外の温度差が大きくなればなるほど、移動する熱量は大きくなっていきます。
例えば、室内が20℃で室外が15℃の場合と、室内が20℃で室外が0℃の場合で同時に暖房を切った場合、
後者の方が早く室温が下がってくるイメージです。
ですので温度差を固定する為、室内と室外の温度差が1K(℃)の時という意味になります。

整理すると「W/㎡K」
「〇〇Wの熱量が1㎡あたり及び内外温度差1Kあたり移動する」ということになります。
この値は小さければ小さいほど移動する熱量が小さいという事になるので、熱が移動しにくい=熱が逃げにくい、
つまり断熱性能が良いという解釈になります。

では、2つの単位がどう違うのか
まずはUA値をもう少し詳しく図解すると以下になります。

UAの計算式は図の通り、①「内外温度差1K(℃)あたりの熱損失合計」÷②「外皮面積」 です。
ここでいう①は、以下の合計となります。

・屋根又は天井から移動する全ての熱
・外壁から移動する全ての熱
・窓から移動する全ての熱
・床又は基礎から移動する全ての熱

これらはほぼ「どんな断熱材をどれだけの厚み、どんな納め方をするか」と、「どんな性能の窓を選択するか」で決まってきます。

次に②の外皮面積ですが、ここでは以下の合計を指します。

・屋根または天井面積
・外壁面積
・窓面積
・床又は基礎面積

つまり、全体の熱損失を建物の表面積(外皮)で割った値がUA値になっているのです。

では、Q値は何が違うのでしょうか。

Q値も単位は同じなのですが、少し使用する値が変わってきます。

Q値の計算式は図の通り、①「内外温度差1K(℃)あたりの熱損失合計(換気+漏気を含む)」÷②「床面積」 です。
UA値との違いは、①に換気と漏気を含むこと、②の面積が床面積になっていることです。

住宅において建築基準法で24時間換気が義務付けられており、1時間で対象エリアを0.5回換気することになっております。
対象エリアというのは、LDKや個室など、人が滞在する部屋のことです。
つまり、その対象エリアの体積分の空気が2時間で全て外気と入れ替わるような形になります。
内外温度差が少なければさほど影響は少ないですが、真冬や真夏の外気が入ってくることを考えると中々影響が大きそうなことは想像がつくのではないでしょうか。

また割り戻す②は床面積となっており、ここもUAと違う箇所です。

もともと省エネ法ではQ値を使われてきましたが、2013年の改正からはUA値を使うようになっています。
換気や漏気など、設備や施工精度が関わってくるQ値よりも断熱仕様のみで評価できるUA値の方が国として評価しやすかったのかなと邪推してしまいますが、、、

このように、同じ断熱性能といっても内容に少し違いがあります。
私としてはどちらも一長一短なところがあるので、内容を理解していればどちらを使用しても良いと思いますが、
国の申請がUA値となっているので各社UA値で検討される事が多いと思います。
お家を検討される皆様も、基本的にはUA値を見られるとは思いますが、
Q値というものも存在しているということを頭の片隅に留めておいていただければと思います。

次回は日射に関する性能に関してご説明をします。


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