こんにちは。設計の田中です。

建築の性能値が浸透し始めてから久しく、一般の方（これから住宅を購入しようという方）も会社探しをしていくと住宅の性能という言葉に遭遇した事がある方がほとんどではないでしょうか。
10年前と比べると各社性能値という考え方が浸透してきて、「我々の性能はこれです！」と言える工務店がどんどん増えてきているように思えます。
ですが、「性能値が良い家」＝「良い家」でしょうか。
もちろん意匠性やコスト、長期性などといった別の観点は色々と存在しますが、今は一旦置いておきます。
当然意匠性や長期性は高ければ良いし、コストは低ければ良いと思います。

「性能」という言葉をもう少し正確に言うと、世間で言われ始めた住宅の性能というのは「温熱的環境及び一次エネルギー消費量に関わる性能」となるかと思います。

「温熱的環境」は、建築するエリアにおいて家の中の室温や壁・天井・床の表面温度がどのように変化するかということ。
暖かい、涼しいといった度合いを考えるので、「快適性、又は健康性」に関わると思って下さい。

「一次エネルギー消費量」は以前もブログで紹介しましたので詳しくはそちらでご確認いただければと思います。
「一次エネルギー消費量」は、光熱費に直結してきますので、一般に支払っている「電気代・ガス代」の元となるものと考えて下さい。
厳密には料金プランが大きく関わってきますので、そこにも注意が必要ですが。

上記の観点から考えると、皆様も我々も「性能値」を求めているわけでは無くて「快適性、又は健康性の向上」、「電気代・ガス代などの光熱費が下がる」ことを求めているのではないでしょうか。
つまり、性能値はその先に求める物がある手段や指標の様な物であると思わないでしょうか。
仮にですが、性能値が良くなっても快適性や光熱費が良くならないのであれば求める価値は無いですよね。

ですが性能値というのは先程も説明した通り、「温熱的環境及び一次エネルギー消費量に関わる性能」ですので、快適性や光熱費にしっかりと影響があります。
なので、性能値というのはしっかりと算出しないといけないと考えています。
私は重要なのは、どんな性能が、どのくらい影響があるのか、という事を理解できているかだと考えます。
また、快適性・健康性や光熱費に関しては目標（ゴール）をどこに設定するかも合わせて重要だと考えています。
例えば、”光熱費は売電も込みで年間0円”などが分かりやすいですね。

断熱性能が2倍になったからといって、快適性や光熱費は2倍良くはなりません。（元の性能にもよりますが）
性能値は数字で表されますので、大小がはっきり分かります。
1よりも2の方が高いし、1よりも1.1の方が高いというのは誰もが分かる事だと思います。
ただ、この数字の大小が目指す目標にどれだけ影響を及ぼしているか、まで考える事が重要ではないでしょうか。

性能を上げる際にはコストの増加と一緒に検討するケースが多々ありますので、
例えば
”何らかの性能をここからここに上げる為に50万円かかります。
その時の年間の光熱費削減は1000円です。”
では採用しないですよね。

性能は重要ですが、どのくらいの性能でどんな結果を求めるか、という事を考えていかないと、自分にとっての住宅の良いバランスというものは見えてきにくいのかな。と思います。

次回は性能値についてのご説明をします。

↑弊社の壁の断熱材