さて今回は『非日常空間が同居する売布の家』第1回、計画課題.①−1の最適解を導くための方法論についてご紹介したいと思います。
土地探しからスタートされたご家族4人の2階建てのお住いです。
計画地は宝塚市南部に位置し、縁結びの神様としても隠れた人気がある売布神社が有名です。
東側8M・南側6Mの道路で北から西へ1.7M程の高低差のある角地で、壁面後退1.0Mの第1種低層住居専用地域に指定された整形(台形型)な約70坪の土地です。
ご要望は
・2階水廻りと1階には大容量の収納が欲しい
・軒をできるだけ出したい
・お手入れをしやすいように
・和室が欲しい(客間・寝室・茶室)
計画の課題及び提案
①−1.土地利用計画とゾーニング計画
②.プライバシーの確保と終日日射取得の両立
検討を重ね最適解に至った方法論ですが、
①−1.今回の計画地は整形な敷地である中で、周辺状況、南東角地からどの方向に開き、閉じるか、1階への日射取得、駐車・駐輪スペース、玄関・アプローチの土地利用計画を検討します。
【周辺状況他】
敷地は東西に長い2区画分譲地の東側分譲地が今回の計画地で、東西方向に約14M〜18M、南北に約15M、敷地と道路の高低差が約1.7Mで北東から南西に道路が下り、道路に向かって法面となっており、西側分譲地との境界沿いにはあらかじめ隣接地の境界際に駐車スペースが配置できるように高さ約1.7Mのコンクリート擁壁が築造されていました。
北側は境界いっぱいに約3Mの既存擁壁が立ち上がり、兵庫県がけ条例による建築制限があり、敷地高低差1.5倍の離隔距離が必要です。
東・南道路対側の隣接建物は、同用途地域に指定されたエリアで壁面後退制限で道路から離隔距離を保ちながら、敷地と道路の高低差もないことから通りに対して圧迫感なく建てられています。
西側隣接地は敷地境界沿いに新設擁壁があることで、法面を削り境界付近には駐車スペースを想定していました。
先に建築に着手され、想定通り今計画地から南西側が開かれ圧迫感のない状況が確認できました。
このような状況からまずは建物配置をどうするべきか検討に入りました。
敷地全景
東側道路
南側道路
【建物配置検討】
1階リビングダイニングキッチン+ファミリークローク+和室の要望により、北側にがけ条例による空地確保から敷地高低差を生かした敷地配置計画の検討に入りました。
真北方向については、東側道路の角度とほぼ同じくらいに約10度くらい東側に傾斜しています。
それでは建物配置に至るまでを以下の順に沿って検討していきます。
①敷地を読む
建物の背中を決め、水廻りの配置
道路からのアクセス位置(アプローチ)を決める
↓
②コンセプトを作る
↓
③駐車・駐輪スペース・樹木位置を検討
車は安全に配置し、樹木を植える場所を決める
↓
④建物のボリュームを検討
面積算定し、ゾーニング
↓
⑤シミュレーション
デッキ、アクセスの設え、馴染ませる
①敷地を読む
北側隣接地は当該敷地から高低差2.5Mあるため、約4Mの外壁後退が必要です。
順当に北側は建物の背中となり水廻り配置を行うわけですが、東側道路から見通せるため室外機等機器類の設置、排気フード位置等配慮が必要です。
西側については境界沿いに既存コンクリート擁壁があり、境界からの外壁後退線1Mぎりぎりまで建物を寄せて配置できそうです。
南側においては敷地高低差が約1.7Mほどありプライバシー面において、1階であっても高さを生かしてプライバシーを確保できること、また法面をうまく利用して通りにも配慮したいと考えます。
東側も同じく道路に接道し、最も高い道路レベルに近いためアプローチのしやすさと空間にゆとりを作りながら、日常的に利用される駐輪スペース1台分の空地を提案します。
②コンセプトを作る
今計画の要望の中に和室の要望があり、客間、寝室、お茶室としての機能を持たせたい、中でも茶道を嗜む為のお茶室として、優先順位の高い以下の要望を頂きました。
・京間であること
・炉を切る
・蛭釘(天井から釜等を吊るすためのフック型の釘)の設置
・床ノ間の設え
・茶道具がしまえる収納
茶室は、お客様を招いてお茶をもてなす場として静かな落ち着いた雰囲気を持たせ、深い趣をもった非日常空間であると考えてます。
非日常空間の設えの場を住まいにどう組み込んで、違和感なくまとめられるか検討が必要と考え、うまく空間に馴染むよう配慮したいと思い今計画のコンセプトとしました。
③駐車・駐輪スペース、樹木位置を検討
がけ条例から約4Mほどの空間は東西方向に約15〜16M、北東の道路とほぼ同レベルであり、北西の奥から日常使いしない駐輪スペース、縦列で来客用と併せ2台の駐車スペースとしました。
上記の駐輪スペース以外に、日常使いのものを門扉から出し入れをしやすいように配置することと建築庇を使って軒下となるよう検討します。
樹木配置について、
まずは敷地高低差の造成計画からご説明します。
道路と敷地に高低差がある場合は擁壁等の無機質なもの、通りから圧迫感を感じるようなものを提案するのを極力避け、通りと建物の間に緩衝帯とした有機質な樹木、土、石等で室内からの視線及び通りへも配慮した提案をしたいと考えています。
今計画においては、道路レベルから建物までを緩勾配の法面を設け樹木を配した計画とし、特に隅切り部分にはシンボル的な落葉樹で陰影をつけながら、室内外で楽しめる四季の移ろいを感じれるようにまた建物の圧迫感を抑制できる効果も期待し提案を行いました。
次回は計画の課題①−2.建物のボリューム検討からゾーニング計画についてお伝えさせて頂きます。
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