さて今回は『緑の雲が庭とつなぐ大和の家』第2回、計画課題.①−2の最適解を導くための方法論についてご紹介したいと思います。
 
 
土地探しからスタートされたご家族4人の2階建てのお住いです。

計画地は、川西市北東端に位置し、大阪府との境である光風台地区と隣接した昭和40年台に大手デベロッパーが開発したニュータウンです。
最寄駅から4〜5分の好立地、西側6M道路、外壁面後退距離は1Mの第１種低層住居専用地域に指定された東西に長い約50坪の土地です。

 
ご要望は
・気持ちの良い場所でのんびりしたい
・お庭で食事を楽しみたい
・健康で快適な暮らし
・程よい距離感で過ごせる家
・季節の移ろいを庭で感じる暮らし

計画の課題及び提案
①−2.土地利用計画とゾーニング計画
②.プライバシーの確保と終日日射取得の両立
 
 

検討を重ね最適解に至った方法論ですが、
①−2.ゾーニング計画について最終案に至るプロセスをご紹介します。

道路際に土と石、樹木を用い有機質な外構計画のバランスを保つため、
2階に水廻りを配置した洗濯動線完結型のコンパクトな総2階の建物を提案しました。

それでは1階のゾーニング計画からご説明します。
南北方向に北から2モジュール（910ミリ×2＝1,820ミリ）の階段エリアとダイニング、
リビングの4モジュール（910ミリ×4＝3,640ミリ）とし、東西方向には東からリビングの4モジュール（3,640ミリ）、
ダイニングの4モジュール（3,640ミリ）、玄関＋トイレ・洗面、ファミリークロークエリアの2.5モジュール（910×2.5＝2,275ミリ）とした構造グリッドとしました。
中央のグリッドには、対面キッチンからダイニングさらに庭へ、縁側と芝生の高さを盛土して高さを揃え野芝のテラスとしました。
キッチンから見える風景は、野芝のテラスまでの床続きで一体感が生まれます。
リビングにおいては、床に寝転がれるように要望の畳リビング、
窓際にソファを造作家具として設え室内側に視線が向くスタイルとしました。
建物際には落葉樹を窓越しに、樹木の葉に触れられるくらいに配置し晴天の日には室内に樹木の影を落とし、
時のうつろいを感じる演出を提案しました。
また床を階段の1段目の高さに設定し、北側のグリッド内にある東西方向の折返し階段、
踊り場まで雛壇状にすることで腰掛けとなり（階段下はリビング収納）、リビングには奥行きとこもり感のある
家族全員で楽しく過ごせる落ち着いた空間となりました。

続いて2階のゾーニングですが、
1階の構造グリッドに当てはめるように北のエリアには、
水廻りと階段、東西方向には東からコンパクトな子供部屋と廊下兼用のデスクコーナー、吹抜け、寝室とし、
クライアントから吹抜けに面した大きな窓にはキャットウォークを作りたいという要望から、
吹抜けを中心に水廻りを経由し回遊できる提案を行いました。
子供部屋とデスクコーナーですが、子供たちの秘密基地感となるよう半クローズ的な空間としました。
壁で仕切りながら吹抜けとの間には開口を設け、将来的に子供たちで仕切れるよう提案。
寝室への廊下にもなっていますが、北側から1階へのアクセスができるため子供たちが成長した際にも安心です。
要望された吹抜けの窓に面した通路（キャットウォーク）ですが、1階同様掃き出し窓にし、
転落防止用の手すりを設ければ中間期には大きな窓を開け放して気持ちの良い風が通り抜けるので、
夜間においても風が通り抜け気持ちよく就寝できそうです。

提案後に1階水廻りの検討を捨てきれないと要望を頂き、検討に入りました。
水廻りを1階に配置することで、面積換算から総2階の建物面積から1階の面積が増加します。
そこで駐車スペース、庭に影響を与えない範囲で考えた場合、玄関土間部分のみを下屋化、
水廻りの諸室をコンパクトにまとめることで上手く納められそうです。
洗面と脱衣場をまとめ、玄関の土間収納を大型の壁面収納に切り替えました。
そうすることで、玄関及び水廻りを北側から浴室、洗面脱衣、トイレ、ホールを西側の2.5モジュールにまとめることができました。
2階においては、寝室から北西に2.5帖のデスクスペースを作り、
大容量で両壁面使いのウォークインクローゼットを経由して階段へと回遊動線を維持しつつ、さらに収納量も充実しました。

クライアントの要望から変更前の案よりも検討を重ねさらに昇華させることで、期待する要望をしっかり汲み取り、
全体のバランスを崩さずまとめることができました。

次回は計画の課題②.プライバシーの確保と終日日射取得の両立についてお伝えさせて頂きます。

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