言葉のギャップ

2021年9月10日更新

こんにちは。工務の大塚です。
 
様々な建築用語の中で言葉の響きと実際のものや行為に大きなギャップを感じる言葉を集めてみました。
日本語って結構暴力的なんですね…(汗)
 
なぐり

丸太や板の表面に手斧の痕跡を残し、それを味わいとみなす技法。

数寄屋建築に用いられる伝統的な技法でありますが、現代においては意匠性を高めるデザイン要素となる加工の一つです。
もともとは栗の木に削った柄から語呂合わせで「名栗」と呼ばれるようになったようですが、由来ははっきりしていないそうです。
英語ではSpoon Cutなんて表現をするようです。
昨年、友人が自邸のリノベーションで名栗加工のフローリングをベンチを兼ねた収納の天板に使っていました。リズミカルな凹凸が触れていてとても気持ちが良く、

本当はリビングの床すべてをこれにしたかったようですが、あまりに高額すぎて断念したとの事…


なぐって出来上がった床は指先や足裏から心地よい刺激を与えてくれるのでした…次に

 
 
はめ殺し窓
開け閉めができる窓に対して、開閉ができない窓の事を言います。
英語ではFIX=「固定する」の意味で、壁にはめ込まれて固定されることから、はめ殺しと呼ばれるようになりました。

どちらの呼び方が先なのかは分かりませんが、英語と日本語のギャップが激しいですね…


景色を切り取ったり、採光を得るうえで有効な窓は、なんとも物騒な響きの名前でした…最後に

 
 
木殺し

木材の接合方法の中に「ほぞ組」というものがあります。


「ほぞ」と呼ばれる凸部を「ほぞ穴」と呼ばれる凹部に差し込む接合方法です。

正確な加工技術が求められますが、同じ寸法で作れば良いというものではありません。
僅かに「ほぞ穴」より大きい「ほぞ」をつくり、木殺しするのが匠の技とされています。
 

「ほぞ」を玄翁(片方が丸みのある面をもつ金づち)で叩いて凹ませる事を木殺しと言います。


木材の繊維をギリギリ断ち切らない程度の力加減で叩くことが肝のようです。

そうすれば、木の復元力で「ほぞ穴」に差し込まれた後に抜けにくくなる訳です。
 
大工の繊細な手仕事は生かさず殺さずの絶妙さがなせる技でしょうか。

 


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